「高級食パン」戦国時代が激化の模様

経営企画

ちらほらちらほら目にするなぁ、と感じていましたが、どうやら「高級食パン」戦国時代が到来しているようです。
この数週間(2020年9月)だけでもあちこちでお店がオープンしています。
ちょっと、状況を調べてみましょう。

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「高級食パン」の検索トレンド

まずはトレンド感からです。

Googleトレンド「高級食パン」より

上図は「高級食パン」の検索トレンドの5年推移です。

2018年末あたりからトレンドが伸び始め、2019年12月の1回目のピーク、その後約10ヶ月弱、長くトレンドが続いています。

大枠の雰囲気としては、クリスマスの時期に一つ伸びて(2018年も12月にスパイクが出来ている)、夏に消費が落ち込む(まぁ、そうですよね)、またクリスマスの時期に消費が伸びる、というサイクルになっているように見えます。

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大による外出控えの影響により、自宅での消費増加を受け、通年で長いトレンドが続きそうな印象です。

なお、「戦国時代」という捉え方は、メディアの方でもされているようです。

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「高級食パン」専門店3大チェーン

今の主要プレイヤーを見ていきます。

乃が美

1店目が「乃が美」。

高級「生」食パン専門店の乃が美(のがみ)
乃が美では、卵を使わず、最高級カナダ産100%の小麦を使用し、焼かずに美味しく食べていただける「生」食パンをお届けします。

日本各地に189店舗存在する、ビッグチェーンです。

2斤864円(税込)の食パンが主力商品のようですね。

業績の方は、まだまだこれから、という状況のようです。
(売上高は不明ですが、下から2段目で「うち当期純損失」とあり、まだ投資フェーズであることが推測される。)

株式会社乃が美ホールディングス 決算公告 | 官報決算データベース


資本金の金額5千万円で、一方資本剰余金が54億円となっています。

おそらく、結構な赤字を出しながら急拡大している店舗なのでしょう。
約54億円の減資を実行し、利益剰余金と相殺をしている数字に見えます。
固定資産の額が111億円ですので、どこかからの大型出資をうけて、一気に市場を抑えに行こう、という戦略をとっているのでは無いかと考えられます。

(一応、クレアシオン・キャピタル㈱という会社が出資をしているようですが、金額は不明です。)


銀座に志かわ

2点目が「銀座に志かわ」です。

銀座に志かわ
水にこだわる高級食パン

現時点で、84店舗を日本各地に展開している模様です。

お値段、2斤880円(税込)となっており、乃が美と同価格帯です。

決算公告は探したのですが、見つかりませんでした。どうやら、出していないようです(一応、会社法違反ではある。大多数の中小は出していないけれどね。)。

2018年の設立との事で、100店舗に迫る勢いですので、銀行からの融資をうけるなり、もしくは減資をしていないだけでエクイティでの調達を実行しているかもしれません(登記簿とればわかるかもですが)。

一応、2019年からはフランチャイズ展開に力を入れている、との事ですので、そこまで資金を要しないビジネスモデルとしているのかもしれません(どの程度の規模かは不明)。


一本堂

3店目が「一本堂」です。

焼きたて食パン専門店 一本堂(公式)
日常の食卓に幸せを。焼きたて食パン専門店一本堂は、創業以来、焼きたてにこだわり、全国各地に店舗展開しております。専門店だからこそできる、味と価格にこだわり、みなさまの食卓に、笑顔をお届けできるように一つ一つ心をこめて焼いております。

こちらも日本各地に124店舗を展開している、ビッグチェーンです。

1斤あたり320円(税抜)なので、700円台と、他2社よりかは気持ち低めの価格設定のようです。

こちらも決算公告は出していないようです。

資本金の額が7百万円という数字ですが、これで100店舗規模の展開は難しいですが、どうやらFC方式での展開がメインのようです。


各社、微妙に展開戦略が異なっており、どこがうまく業績をのばせるのか、見ものです。

VCからの支援をうけている「乃が美」なのか、FC方式ハイブリッドの他2社なのか、それとも別の会社が台頭してくるのか。

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その他にも続々と登場

さて、この1ヶ月だけでも、沢山の店舗が出店しているようです。

沢山ありすぎるので、記事のタイトルだけ10個ほど事例としてあげます。

価格帯も800円~900円前後の、3大チェーンの値付け感と同じ所もあれば、数千円の価格帯で出している超高級パンも存在します。

更に、例えば下記のような、高級パンに絞って宅配を行う業者も登場しているようです。

Authorization Required

消費者としては非常に楽しみな状況です。

ブーム性もあるでしょうから、これから正に成長と生き残りをかけた戦いがはじまっていくのでしょう。

ブームの起点は大手小売りの模様

なお、もう少し過去を辿ってみると、2016年頃までのパン市場はほぼ横ばいの、ゆるやかな伸びが続いている状況でした。

それが2016年頃以降で、コンビニをはじめとして「高級パン」が登場し、それが消費者の間で人気をはくす形になります。

矢野経済研究所によると、この辺りが高級パンブームの起点になったのでは、との事でした。
そして、その後「乃が美」をはじめとした専門店が火付け役となった、と解説されています。

しかし、2016年度以降、高級食パンや大手ホールセールメーカーブランド食パンの商品リニューアル等、市場を牽引する商材の存在感が増したことがパン市場を後押しした。大手ホールセールメーカー主導による「こだわりシリーズ」などの展開や使用原材料の向上等により、以前は低価格志向に走っていた消費者の購買力が高まったと考える。
(中略)
数年前から続く高級食パンブームの火付け役となったのが、大阪市内で創業した「乃が美」である。また、「日常の食卓に幸せを」との想いから、焼きたて食パン専門店を全国展開するのが「一本堂」である。

矢野経済研究所「2017年度の国内パン市場規模は前年度比101.4%の1兆5,582億円」より

矢野経済研究所資料内にもありましたが、今後の人口減少、そして上述のブーム性の話もありますので、今この拡大ベースが続くとは到底思えません。

どこのライン(市場規模)がコアなファンが継続して買い支えられるのか?というポイントまで育ち、淘汰がはじまるはずです。

いずれにせよ、「乃が美」は出資をうけて展開しているので、何かしらのExitを求められます。
(IPOも目線に入っているはずです。)

「高級食パン」市場は、今が熱いです。
(なお、今から専門店で参入しよう、という発想はリスクが高いですね。いつ、ブームが終わるか不明なので。)

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