一般的には、パフォーマンスの高い個人を集めた方がチーム全体のパフォーマンスも上がると考えられています。
一方で、ごくごく普通の会社にもかかわらず、とんでもない成果を出すような光景を目にすることもあります。
果たして、メンバーによりチームのパフォーマンスはどれくらい変わるのでしょうか?
いわゆる集団的知性
いわゆる集団的知性、という言葉があり、本稿はこの集団的知性とメンバー構成について考えたいと思います
簡単に集団的知性とは?について、Wikipediaから引用します。
集団的知性(Collective Intelligence、CI)は、多くの個人の協力と競争の中から、その集団自体に知能、精神が存在するかのように見える知性である。
(中略)
Atlee は集団的知性を「集団思考(集団浅慮)や個人の認知バイアスに打ち勝って集団が協調し、より高い知的能力を発揮するため」のものと主張している。
(中略)
集団的知性研究のパイオニアである George Por は、集団的知性現象を「協調と革新を通してより高次の複雑な思考、問題解決、統合を勝ち取りえる、人類コミュニティの能力」と定義している。
Tom Atlee と George Por は「集団的知性は、関心をひとつに集中し、適切な行動を選択するための基準を形成する能力がある」と述べている。
(略)
なんだか小難しい感じですが、ようは「チームが協調して、ある目標の達成に向かって適切に邁進し、課題を解決していく、集団としての能力」のことと言えるでしょう。
メンバー構成と集団的知性の研究
こちらの記事である研究が紹介されています。
複数大学の研究チームが、約200を超えるグループ(チーム)に、様々な種類の課題を与えて、そのパフォーマンスを測定したとのこと。
その結果、ある種の課題をうまく遂行できるチームは、別の課題についても同じようにうまく遂行できる傾向が示されたそうです。
そして、そういうチームの特性として集団的知性が高いという特徴(因子)があることが示されました。
研究では、IQが高い人が入っているチームが、必ずしも集団的知性も高いというわけではないことも示しました。
会社組織においてどのようなメンバーを集めるか?
ビジネスをやっている方にとって、この知見をどう活用しようか、悩む所でしょう。
一般的には「頭が良い人」の方が、パフォーマンスを発揮できると思われていますし、現実問題として、そのように見えるはずです。
一方で、研究では、必ずしもそうでは無いことを示しています。
研究は次の要素が集団的知性を高める因子だ、としています。
- コミュニケーションが多いこと
- 女性がいる多様なチームであること
- 感情知能が高い人がいること(特にここが重要だとしている)
感情知能は、「心の知能とは、自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を指す。 」と定義されています。
ようは、自分の感情を適切に把握しコントロールできたり、人の気持ちについても精度高く察することができること、というものです。
EQ、と言われるものと近しいと考えても良いでしょう。
IQが高すぎるとマネジメント上の失敗が起きるリスクが高まる、という研究もあります。
ビジネスにおいては、職場は特定のスタープレイヤーに依存しがちですし、トップダウン型のマネジメントも広く見られます。
集団の知性や個人の感情より、個々人のパフォーマンスの方が優先されるのが会社組織のあるあるなのですが、改めて感情知能、もしくはEQについて見なおしてみるのも良いかもしれません。
(もちろん、IQも高い方が良い、両方兼ね備えているのがベストです。)
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