現代のロビン・フッド?~富に基づく逆差別と不正~

マネジメント・リーダーシップ

なんとなく、お金持ちの方がお金を落とすから、サービスを受ける上で優遇され、逆に庶民は冷遇されがち、というような印象を持っている方もいるかもしれません。
しかし、どうやら、富に基づく逆差別がおきる事例もあるようです。

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お金持ちはサービスで優遇されるか?否か?

複数のビジネス・スクールによる研究チームは、次のような調査を行いました。

Robin Hood Under the Hood: Wealth-Based Discrimination in Illicit Customer Help | Organization Science
This paper investigates whether an employee's perception of customer wealth affects his likelihood of engaging in illegal behavior. We propose that envy and emp...

対象は、自動車の排気ガス試験における、検査官の不正(適合しない自動車を合格にする行為)についてです。

排気ガス試験では、(庶民が乗っていると推測される)一般車や(お金持ちが乗っていると推測される)高級車など、様々なグレードの自動車に対して試験が行われます。

研究チームは、(中程度の裕福さの)検査官は、高級車に対しては嫉妬や羨望等の感情を抱き、厳正に試験を行うのに対し、一般車に対しては共感を持ち試験のハードルを下げる不正を行う確率が高くなる、と推測しました。

排気ガス試験市場のデータを分析した結果、この仮説は正しく、検査官は一般車に対して不正を行う確率が高くなることが示されました。
つまり、一般車に対しては、本来ならば不合格になるはずの自動車を、検査官が合格させてしまう確率が統計的に高かったのです。

(所得水準の高い検査官の場合、逆に高級車に対して優遇する確率が高くなったとのこと。ようは、自分自身の所得水準に近しいであろう人に対して共感し、違法な援助をしたがる傾向があるようです。)

これらの示唆について、続く心理学的な実験においても同様の結果が示されました。
検査官に見立てた被験者は、高級車ではなく、一般車に乗っている“仲間”を不正に援助する傾向が同様に示されたのです。

この事例により、「富に基づく逆差別」が起き得る場合もある、ということがわかります。
(研究者達は、これらの現象に対して、「ロビン・フッド」と表現しています。)

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自分たちの職場でも不正は起きていないか?

この知見は、単純に逆差別が起きる場合もあるんだね、という話ではありません。

もしかしたら、あちらこちらの業界・職場においても、同様の不正が起きている可能性があります。

BtoCサービスにおいて、顧客との直接の接点を持つ担当者の所得水準は、大体において決して高いものではありません。
そのため、従業員の顧客に対する共感等により、不当に会社が決めている基準を侵している可能性はゼロではありません。

これを防ぐ施策は、果たして検討され、対処されているでしょうか?


近年のビジネス環境は、ガバナンス体制をより高い水準で構築しよう、という動きが盛んです。

その中で、このような観点でも不正は起き得る、ということを理解しておくと、内部統制の水準向上に寄与するかもしれません。

顧客を決められたルールの範囲内で支援し、ロイヤル・カスタマーになっていただけるよう行動していくことは素晴らしいことです。
しかし、それが不正なものであれば、最終的に損害を被るのは企業、そして従業員自身です。

あるべきはあるべきに。

そのように捉え、適正なガバナンス構築を図りたいものです。

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