世の中には、褒めると調子にのってつけあがるからパフォーマンスが落ちる。だから褒めない。
という人が意外にいるのですが、これは間違いです。
その理由は、褒められるのが嫌いな人は基本的にはいないこと、人は褒められるとパフォーマンスが向上し問題解決能力があがるからです。
「褒め」とパフォーマンスの関係の研究
ハーバード・ビジネス・スクールは、「褒め」とパフォーマンスの関係の研究を行いました。
実験では、75人の被験者を対象に、問題解決能力を測るテストが行われました。
半分の被験者については、友人や家族、同僚に、被験者を褒める内容や場面について書いてもらいました。
そして、テストを行う直前に、そのテキストが提示されました。
残り半分の被験者については、特になにもせずに、そのままテストを行ってもらいました。
なお、行うテストは、「ドゥンカーのロウソク問題」と言われる、古典的な問題解決能力を測るための認知能力テストです。
ドゥンカーのロウソク問題:このテストでは、被験者に1つの問題が与えられる。それは、コルクボードの壁にロウソクを固定し、点火するというものである。ただし、溶けたロウが下のテーブルに滴り落ちないようにする必要がある。この問題を解決するにあたり、被験者はロウソク以外に、1束のマッチ、1箱の画鋲だけを使うことが許される。
ロウソク問題の解答:箱から画鋲を取り出して画鋲で箱をコルクボードに固定し、ロウソクを箱の中に立ててマッチで火をつけるというのが答えである。機能的固着のコンセプトが予測するところによると、被験者は箱について画鋲を入れるための道具としてのみ見て、そこに問題解決に有効活用できる別個の機能要素があるとはすぐには気付くことができない。
Wikipedia「ロウソク問題」より
人は褒められるとパフォーマンスが向上する
テストの時間制限は3分で、実験の結果、時間内に問題を解けたのは「褒められた」グループでは約51%、対照群である「褒められていない」グループでは約19%にとどまる形となりました。
つまり、人は褒められるとパフォーマンスが向上するのです。
この傾向は他の実験でも示されており、「良い状態の自分」を想起できたグループは、忍耐力が向上したり、スピーチを問題なくこなすなど冷静さを保つ能力が向上することがわかっています。
人は褒めた方が良い
これらのことから、基本的には人は褒めた方が良い、ということがわかります。
褒められることが嫌いな人は、多くの場合いないことも容易に想像できるでしょう。
実際、(それがどこまで健全かはともかく)人間関係を長く続けるためには、否定的コミュニケーションより、肯定的なコミュニケーションを重視した方が良い、とされています。
また、人は自分にとって都合の悪い、耳に痛いフィードバックについては正確性に欠ける、信頼できないものと判断する傾向があるという研究もあります。
つまり、成功の要因は個人に起因するものであり、失敗の要因は外的なものであると、以前よりも強固に感じるようになってしまう傾向があるのです。
ビジネスでも育児でも。
もちろん、褒めるだけではダメなシチュエーションもあるでしょうが、褒めることを重視してみると、非常に良い結果が返ってくるでしょう。
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