先日、とある方による、とあるインフルエンサーへのコメントで「生卵×納豆は栄養相殺なNGな食べ合わせ(以下略)」というものを見かけました。
結論、大げさな話で気にする必要は無いのですが、ネット上では様々な情報があふれており、真偽がわかりづらいです。
今回は、栄養学とかその種の知識抜きに、ロジカルシンキングで判断する方法を考えてみます。
お題:納豆と生卵の食べ合わせは相性が悪い、をロジカルシンキングで反証する
なんでそんな話になるのかよくわからないのですが、
納豆と生卵の食べ合わせは相性が悪い。
なぜならば、卵白に含まれるタンパク質「アビジン」は、
納豆に含まれるビタミン「ビオチン」と結合し、吸収を阻害するから。
「ビオチン」は皮膚や髪の毛の健康を保ったり、身体の酵素の働きを助けるので、
ビオチン不足になると、色々な健康被害がでる。
と言われています。
まあ、この話自体は、論理的に筋が通っています。
テレビなどで偉い風の先生が(おそらく、全体文脈を見るとそんな主張をしていないのでしょうが)、そのように解説をすると、信じてしまう人も出てくるでしょう。
今回は、この話を、専門的な栄養学等々の知識抜きで、
あくまでもロジカルシンキングの観点で反証してみます。
この種の話は、納豆と生卵の食べ合わせに限らず、色んな場面で出てくるので、応用が利くと思います。
ロジックの流れ
この話はそんなに難しく無いです。
まず、常識的な感覚をもって世の中を見渡した時に、「納豆と生卵の食べ合わせ」による健康被害を見聞きしたか?がポイントです。
聞かないですよね?
じゃあ、レアリティの話なのか、単純に話が出回っていないのかどうか、ということで全体の母数を考えます。
ようは、納豆と生卵の食べ合わせで頻繁に食事をされる方が世の中にどれくらいいるのか?という話です。
納豆を頻繁に食べる人の割合 × 生卵を頻繁に食べる人の割合 × 日本の人口
ですね。
別にフェルミ推定でやっても良いのですが、ここでは省略し、資料に頼ります(ググればすぐに出てきます)。
資料の数字、納豆を頻繁に食べる人(毎日を含む、2~3日に1回以上)が36.6%、卵料理を頻繁に食べる人(毎日を含む、週に3~4回程度以上)が71.6%です。
で、生卵の喫食データは無いのですが、「好きな卵料理」で「卵かけごはん」が5位にランクインしているので、超ざっくり10人に1人とパラメータ設定を置きます。
数字をあてはめて見ると、下記の通り約3百万人が該当することがわかります。
納豆を頻繁に食べる人の割合 × 生卵を頻繁に食べる人の割合 × 日本の人口
= 36.6% ×71.6% × 0.1 × 1億2千万人
= 約3,100,000人
考えて見てもください。
3百万人もの人間が健康被害にあうような食べ合わせがあるのならば、もっと世の中的に話題になっているはずですし、厚生労働省とかが警告を出すはずです。
健康被害が仮にあるにしても、影響は小さいか、もっと対象母数が小さいか、のどちらかか両方になるはずです。
つまり、「気にする必要が無い」と言えるわけです。
好きなように食べなよ。
まとめ
今回の話は、「〇〇は良くない!(定性)」という話に対して、「じゃあ、どれくらいの人に影響があるの?(定量)」という流れて切ってみました。
定性情報を定量情報で検討してみる、というビジネスでもよくある思考ですね。
ちなみに医療の話でいうと、卵白の過剰摂取による健康被害は実際にあって、「卵白障害」と言われています。
この話を仮にしっていたら、「卵白障害 患者数」で検索してみる方法もあります。
まあ、数字が出てこないから「あぁ、大したこと無いんだな」とすぐに気づくのですが。
ちなみに話をもう一つ付け加えると、諸々の研究論文を眺めていると、卵を10個以上、毎日摂取するのを数ヶ月から数年間続けると、卵白障害が起きるらしいです。
さらに付け加えると、この話は「卵白×他ビオチンが含まれている食材」の対立軸になるので、潜在患者数は約8百万人と上の数字以上に増加します。
なおさら気にする必要が無いことがわかりますね。
話の中身は違っていても、この種の話は多く溢れています。
ビジネスの現場でもそうです。
定性情報は定量情報に置き換えてみる。
この基本的な思考の流れだけで、大体のことは、大元の知識抜きでも解決できたりします。
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