企業の花粉症対策~福利厚生としての手当のすすめ~

人事・総務

パナソニックが花粉症に関する調査し、花粉症に起因する労働力低下の経済損失額は、1日あたり「約2,215億円」と具体的な経済損失額を公表しました。
ここから換算すると、花粉症に苦しんでいる方の生産性低下は1人あたり36万円と計算できます。

ここでは、企業の花粉症対策を推奨する前提で、上記調査内容を検証すると共に、具体的な対策を解説します。

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数字ロジックの検証

日本人の平均給与は、5,315千円です。

1年間の総労働時間は、1,998時間です。

時給換算では、3,907円/時間となります。
〔5,315千円÷1,998時間×1.13(法定福利費分13%)×1.3(その他雇用コスト30%)=3,907円/時間〕

花粉症の患者割合は、29.8%です。

就業者数は、6,687万人です。

「花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は平均で約2.8時間とされています。

これらの数字を元に、「2,215億円」のロジックを分解すると、下記のようになりました。

3,907円/時間 × 29.8% × 6,687万人 × 2.8時間/日 = 2,179億円/日

どういう前提を置くか、によりますが上記の計算ロジックの模様です。
ほぼほぼニアリーイコールですので、ポジショントーク的印象をうけないわけでも無いですが、MAX額としてこれくらいの損失があることはわかりました。

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企業の対策を推奨~1人あたり約36万円の損失~

花粉症は酷い方は年中苦しんでいるとされていますが、スギ・ヒノキが広がる2月~6月の集中期間、生産性低下が大きいと仮定します。
5か月間の内、風が弱い日や雨が降っている日もあるので、花粉症の飛散が多い日を3日に1日とします。
そうすると、下記の通り、約36万円が一人当たりの花粉症による経済損失です。

3,907円/時間 × 5か月間(100日) × 3分の1 × 2.8時間 = 364,653円/1人

これは仮定をどのように置くかで当然に変わってくる数字ですが、もっと低く見積もったとしても、結構な金額、損失があることがわかるでしょう。
企業として花粉症対策を行うことは、かなりの生産性向上につながる可能性があります。

ここからは、具体的にできる、企業としての花粉症対策を解説していきます。

本稿では触れませんが、リモートワークを導入するのも一つの施策として考えられます。

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花粉吸引ブラシの用意

花粉吸引ブラシの設置は、外からの室内への花粉持ち込みを防止します。
例えば、リンクのような商品を、職場の入り口に設置します。
1つ6,000円から7,000円とリーズナブルですので、導入のハードルも低いでしょう。
通常の衣服用ブラシ + 掃除機 でも代用が可能です。

高性能な空気清浄機の設置

室内に入ってしまった花粉を除去する効果があるのが空気清浄機です。
高性能なものですと、高額ですが当然、効果は高くなります。
リンクのものですと最大75畳の広さに対応し、値段は110,000円~120,000円となります。
他のハウスダストやシックハウスへの効果もあり、副次的なプラスも得られます。

職場の人数や広さにもよるのですが、花粉吸引ブラシとあわせて導入すると、非常に効果が高くなるでしょう。

マスク補助

外出時の花粉症対策用品に補助を出すことも考えられます。
今現在(2020年3月)は、感染症の影響もありマスクが高騰していますが、例年ですとマスクは1個、精々20円~30円です。
1月分で大箱400円ですので、これに対して会社から補助を出すのは妥当と考えられます。

場合によっては、対花粉用のメガネやゴーグルに対して補助を出すのも考えられます。
例えばリンクのような商品ですと、1個2,000円しないので、非常にリーズナブルです。
1人1個、1年に1回、と決めて福利厚生施策を設計することは十分に考えられます。

通院手当の導入

そしてこちらが、比較的、根本性が高い対策です。
花粉症は、残念ながら一度発症してしまうと、根治治療は困難なものですが、その症状が出にくいようにする治療(対処療法)は可能です。
しかし、通院は時間もお金もかかり、頭では病院にいった方が良いとはわかっていても、中々足が遠い方もいるでしょう。
そこで、実際に通院してかかった費用に関して手当(補助)を出す福利厚生施策が考えられます。

治療費用は1か月あたり3,000円から4,000円で、費用対効果も高いものです。
根治治療に近しい「舌下免疫療法」では毎月2,000円が数年にわたり続きますが、これを補助することも考えられます。

企業による花粉症対策はEmployee Successにつながる

花粉症対策を行っている企業はまだまだ少数です。

別の調査では、企業に花粉症対策を望む方が6割もいるのも事実です。

企業として花粉症対策に乗り出すことは、Employee Successにつながり、採用力の強化にも、リテンション(離職防止)にもつながる可能性があります。

そして、現実として生産性の低下を招いている以上、花粉症対策に投資をすることは非常に合理性が高いと言えます。

企業経営者、総務担当者は、改めて企業としての花粉症対策を導入してはいかがでしょうか。

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