ピアボーナス「Unipos」を提供しているUnipos㈱より、「テレワーク長期化に伴う組織課題」に関する意識調査の結果が公表されました。
どうやら、リモートワークは生産性が悪くなるらしいです。
そして、それでもリモートワークの継続を望む人が多いらしいです。
リモートワークの生産性は研究ベースだと「よくわからない」
以前の記事で、リモートワークの生産性の記事を書きました。
様々な研究を横断的にレビューした結果として、リモートワークは個人にとっても企業にとっても、メリット・デメリットがあり、その生産性については「よくわからない」という結論です。
今回、Unipos社は、リモートワークの課題についてアンケート調査を実施しました。
その中でリモートワークの生産性について触れられていたので、今回取り上げます。
Unipos社の調査
調査概要
Uniposu社は、4月24日~27日の4日間にわたり、インターネットリサーチの方法で管理職333名を含む、総計886名の20-59歳男女にアンケート調査をとりました。
調査項目は下記の7つです。
- リモートワークの導入状況
- チームの生産性の変化
- 部下の仕事ぶりの変化
- 上司や同僚の様子の変化
- リモートワーク長期化に伴う課題
- リモートワーク開始にあわせて導入したITツールの生産性
- コロナ影響収束後のリモートワーク継続の意思
とりあえず詳細はUnipos社リリースを参照ください。
自社システムの導入を促すポジション調査ではある印象ですが、n数は大きいので参考になるはずです。
検証材料から除外
リモートワークの導入状況については、クロス集計がされた資料があれば、言える事もでてくるのですが、これだけだと各回答にどのような影響があるのかわからないのでパスします。
ITツールの生産性も、導入した結果、生産性があがったのか下がったのか、それとも既存のITツールに対する評価も含みなのかがよくわからないのでパスします。
というか、従業員エンゲージメント向上ツールを導入した結果、生産性が高くなったが26.7%なのに対し、低くなったが23.3%もいるので、「結局、組織によるのでは?」疑惑があるので、これで何が言えるのかも不明ですし。
リモートワークで生産性は悪化、周囲の様子の把握に難点がある
悪化したというLOW層が50%存在
Unipos社調査をサマると下記のようなイメージになります。
HIは、生産性が高くなった、周囲の様子がよくわかった、リモートワークを継続したい、などのポジティブな反応。
LOWは、逆に低くなった、わかりづらい、リモートワークを継続したくない、というネガティブな反応です。
NLはニュートラルな反応を示しています。
これを見ると、生産性は明らかに悪化したという反応が出ていることがわかります。
同様に、部下の仕事ぶりや、上司・同僚の様子についても、わかりづらいという反応が出ています。
一方、HI層はこの3項目に関しては、いずれも1桁%台なので、リモートワークによって生産性が高くなった、周囲の様子がよくわかるようになった、というのはマイノリティだ、ということがわかります。
NL層の存在が重要
不思議に思うのがNL層です。
NL層が3つの質問いずれも40%前後存在し、オフィスワークもリモートワークも大して変わらないと感じている層が結構なボリュームで存在することがわかります。
私は、このNL層が重要だと感じています。
オフィスワークとリモートワークを対立させた場合、仮に生産性が変わらないのであるならば、リモートワークを選択した方が良いはずだからです。
(個人レベルで見たら時間の節約になりますし、会社レベルで見てもオフィス費用という高い固定費を削減できるので。)
そう考えると、NL層はHI層と合算して考えるのが適切だと思われます。
つまり、リモートワークによって、0以上の生産性があった層(変化なしの0を含む)と、マイナス層がほぼ同じ割合がいるということです。
これだけ見ると、リモートワークでいいんじゃない?という考えに、やはりなってしまいますね。
とりあえず、多くの働く人はオフィスワークは嫌なご様子
生産性が低下した、周囲の様子がわかりづらい、というLOW層が50%前後存在する一方、リモートワークの継続を望む方も50%前後存在します。
特に管理職です(56.1%)。
そんなにオフィスワークは嫌か、と思いはしますが、まあそうですよね。
何はともあれ、新型コロナウイルスの影響が落ち着いても、リモートワークを経験した会社・人においては、リモートワークの継続圧力が高まることが予想されます。
こちらに関しては、予想どおり、既得権益化してきたようです。
課題認識
課題認識については、n数を分母として、割合で再作成しました。
内容としては、概ねそうだろうな、というものです。
よくわからないのが、管理職の方が軒並みパーセンテージが高い点です。
これは、管理職の方が目線が高いから感じる課題意識も高いのか、それとも年齢層が高くなり最新のITツールを使いこなせない、文化になじめないからなのかが読み取れないからです。
どちらの可能性もありそうではあります。
アフターコロナはやはりリモートワークの社会になりそう
通して感じることとしては、二極化が進んでいくのだろうな、ということです。
まず、多くの人がリモートワークを望んでいることがわかりました。
その上で、生産については0以上とマイナスが半々ずつです。
アフターコロナの世界では、リモートワークを継続し生産性も下げずに対応しきった組織と、リモートワークを継続するも生産性が下がった組織やそもそもリモートワークをやれずにジリ貧で経営を続ける組織の2つに、大きく分かれていきそうな予感がします。
とりあえず、社会がリモートワーク化していくことは間違いなさそうです。
(それでも、トータルで見てみると前年比+〇%、みたいな少しずつには落ち着くのでしょうが。)
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