取締役会議事録テンプレート,書き方のポイント

人事・総務

ここでは取締役会のテンプレートを提示すると共に、書き方のポイントについて解説します。
近年はガバナンス強化が求められると共に、特にIPO準備企業においては、実効性のある取締役会運営が必要です。
取締役会議事録の充実は、その証明にもなるので、きちんと内容を理解し記載するようにしましょう。

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取締役会議事録テンプレート

取締役会議事録

下記の通り、取締役会を開催した。

開催日時:YYYY年MM月DD日hh時mm分
開催場所:当会社の本店会議室
出席者:代表取締役 hogehoge(議長兼議事録作成者)
    取締役 hogehoge
        hogehoge
        hogehoge
        hogehoge
    監査役 hogehoge
        hogehoge
        hogehoge

欠席者:取締役 hogehoge

書き方のポイント

ここは定型部分なので、基本的には使いまわしで日時だけ更新すれば良いでしょう。
取締役会議事録には、取締役会が開催された日時と場所の記載が必要です。
元号記載より西暦記載の方が間違い等が減るので良いです。
開催場所は、基本的には本社の会議室になるかと思いますが、仮に社外で実施する際には所在地を明確にする必要があります。

欠席者については記載する必要がありませんが、定足数を充たしているか否かは重要なので、全ての役員を記載し、出席者の欄と欠席者の欄にわける方が利便性は高いでしょう。

なお、途中退席をした取締役や監査役がいる場合には、どの報告事項・決議事項のタイミングで途中退席をしたのか?は記載する必要があります(定足数は、各議案毎に充足している事が求められるため)。

定刻hh時mm分、代表取締役hogehogeは定款の定めにより議長となり、開会を宣した。

書き方のポイント

議事の進行について記載する必要があります。
議長を別に選出した場合には次のような記載が必要です。

「出席取締役の互選によりhogehogeが議長となり開会を宣し、議事に入った。」

また、仮に議長が途中で交代した場合には次のような記載が必要です。

「定刻hh時mm分、代表取締役hogehogeは定款の定めにより議長となり、開会を宣した。なお、第〇号議案hogehogeの件いついては、議長である代表取締役hogehogeが_____のため、取締役hogehogeが議長となり、議事を進行した。」

____の部分は、特別利害関係人であるため、というように理由を明確に記載します。

役員全員がWEB会議参加の場合の書き方例については、下記を参照してください。

報告事項

① 月次業績報告
議長より別紙の通り、〇月度の月次業績報告があった。
(中略)
.....など詳細な説明があった。

書き方のポイント
取締役会議事録は、本質的には会社法および法務省令等に規定された記載事項が、確実かつ漏れなく記載されていることが必要です。
多くの会社はルーズな場合が多いですが、IPO準備企業においては、簡潔に要旨では良いものの、どのような説明があったのか、きちんと記載する必要があります。
テンプレートだけが毎回記載されている場合、取締役会の実効性や形骸化を懸念されます。
とは言え、実務面での簡素化のため、別紙の活用は良いでしょう。

(意見、質疑応答の要旨)

特になし

② hogehogeの件
(略)

(意見、質疑応答の要旨)

ア.質問内容を記載(取締役 hogehoge)
イ.回答を記載(代表取締役 hogehoge)
ウ.以下略
エ.
オ.

書き方のポイント
上述に加え、取締役会の中で、どのような説明があったのか、だけでなくどのような議論があったのか、を簡潔に要旨では良いものの、きちんと記載する必要があります。
ここは抜けている会社も多いですが、IPO準備企業では(意見、質疑応答の要旨)というような欄を設けて、要旨を記載するようにしましょう。

決議事項

① hogehogeの件
議長の指名により、取締役hogehogeより、hogehogeの件について説明した。
(中略)
議長がその賛否を議場に諮ったところ、本議案は満場一致をもって原案どおり承認可決された。

(意見、質疑応答の要旨)

(省略)

以上をもって本取締役会の議事を終了したので、議長は閉会を宣し、hh時mm分に散会した。

上記の決議を明確にするため、この議事録を作成し、議長並びに出席取締役及び監査役は記名押印する。

YYYY年MM月DD日

株式会社〇〇〇〇 取締役会

議長 代表取締役 hogehoge 印

     取締役 hogehoge 印

     取締役 hogehoge 印

     取締役 hogehoge 印

     取締役 hogehoge 印

     監査役 hogehoge 印

     監査役 hogehoge 印

     監査役 hogehoge 印

押印行為を電子署名で行う場合

下記文言を記載し、押印欄は省略する。
「上記議題及び決議内容を明確にするため、この議事録は電磁的記録をもって作成し、議長並びに出席取締役及び監査役は電子署名を付す。」

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関連法令等

会社法施行規則
(取締役会の議事録)
第百一条 法第三百六十九条第三項の規定による取締役会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 取締役会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 取締役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
二 取締役会が法第三百七十三条第二項の取締役会であるときは、その旨
三 取締役会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨
イ 法第三百六十六条第二項の規定による取締役の請求を受けて招集されたもの
ロ 法第三百六十六条第三項の規定により取締役が招集したもの
ハ 法第三百六十七条第一項の規定による株主の請求を受けて招集されたもの
ニ 法第三百六十七条第三項において準用する法第三百六十六条第三項の規定により株主が招集したもの
ホ 法第三百八十三条第二項の規定による監査役の請求を受けて招集されたもの
ヘ 法第三百八十三条第三項の規定により監査役が招集したもの
ト 法第三百九十九条の十四の規定により監査等委員会が選定した監査等委員が招集したもの
チ 法第四百十七条第一項の規定により指名委員会等の委員の中から選定された者が招集したもの
リ 法第四百十七条第二項前段の規定による執行役の請求を受けて招集されたもの
ヌ 法第四百十七条第二項後段の規定により執行役が招集したもの
四 取締役会の議事の経過の要領及びその結果
五 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名
六 次に掲げる規定により取締役会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
イ 法第三百六十五条第二項(法第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)
ロ 法第三百六十七条第四項
ハ 法第三百七十六条第一項
ニ 法第三百八十二条
ホ 法第三百八十三条第一項
ヘ 法第三百九十九条の四
ト 法第四百六条
チ 法第四百三十条の二第四項
七 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称
八 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名
4 次の各号に掲げる場合には、取締役会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第三百七十条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした取締役の氏名
ハ 取締役会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
二 法第三百七十二条第一項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により取締役会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項
イ 取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容
ロ 取締役会への報告を要しないものとされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

会社法
(取締役会の決議)
第三百六十九条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

会社法
(議事録等)
第三百七十一条 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
4 取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
5 前項の規定は、取締役会設置会社の親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
6 裁判所は、第三項において読み替えて適用する第二項各号に掲げる請求又は第四項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第三項において読み替えて適用する第二項の許可又は第四項の許可をすることができない。

会社法
(取締役会への出席義務等)
第三百八十三条 監査役は、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。ただし、監査役が二人以上ある場合において、第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、監査役の互選によって、監査役の中から特に同条第二項の取締役会に出席する監査役を定めることができる。
(以下略)

昭和40(オ)68,株主総会決議取消等請求,昭和41年8月26日,第20巻6号1289頁
判示事項
二 議決時に定足数を欠くにいたつた取締役会の決議の効力
裁判要旨
二 株式会社の取締役会の定足数は、開会時に充足されただけでは足りず、討議・議決の全過程を通じて維持されるべきであり、議決時にこれを欠くにいたつた場合には、当該決議は無効というべきである。

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