「取締役会決議事項の提案書」をクラウド型電子契約でやろう

人事・総務

取締役会の決議を省略するための方法として提案書方式というものがあります。
通常はPDFデータや紙で送付したものを、メールでの同意、ないしは紙での同意を取得します。
別にこの方式でも問題無いのですが、最近浸透してきたクラウド型電子契約サービスを使うと非常に良いです。

ちなみに、 提案書方式 = 書面決議 = みなし決議 です。

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提案書方式をクラウド型電子契約サービスでやると良い理由

結論、内部統制面で一番良いと考えられます。

紙は不便なので電子が良く、電子でもメールで十分と言えば十分です。

ただ、メールの場合、単純に「同意します。」と返信されても、何に対して同意なのかの曖昧性が高く、センシティブな決議の場合、揉める可能性がゼロではありません。
ようは、書面決議で良い旨の同意なのか、それとも議案に対する同意なのかを明確にしてもらわないといけない、という事です。
(忙しい経営者ですと、本当に一言、主語とか省略して「同意します。」って返してきます。)

そこで、”締結”という形で同意を取得する意味で、立会人型の電子署名が付されるクラウド型電子契約サービスの登場です。
この方法は、内部統制的に最も適している、と考えられます。

過去の記事で、取締役会議事録の押印に関して、クラウド型電子契約サービスが使えるよ、という事はお伝えしてきましたが、提案書方式でも使えるのですね。

やり方はそんなに複雑では無く、一般的な「取締役会決議事項の提案書」をPDFに起こして、それをクラウド型電子契約サービス上で設定、取締役に送付・回覧すればOKです。

なお、利害関係取締役は提案書の送付対象ではありませんが、人間関係というかビジネス・コミュニケーションの常識として、一応、他役員に送付している旨、伝達した方が良いでしょう。

業務監査権限がある監査役について

監査役に関しては異議が無い事の確認がとれれば良いので、別にこの送付に加える必要はありませんが、その異議が無い旨を明確に確認する意味でも送付対象に加える事は差し支えないでしょう。

(業務監査権限がある監査役がいる場合に、異議無しコメントが必要。定款・登記簿に「当会社の監査役の監査の範囲は、会計に関するものに限る。」との規定が無い場合は、業務監査権限がある監査役となります。)

定款の定め

定款には下記のような定めがあることが前提です。

電磁的記録が入っていなかった場合は、記載の方法で対応するしかないですね。
早々に定款変更を行いましょう。

当会社は、取締役の全員が取締役会の決議事項について書面または電磁的記録により同意したときは、当該決議事項を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。但し、監査役が異議を述べた場合はこの限りでない。


ここで話は以上になるのですが、提案書や同意書、その後の議事録に関して、テンプレートを参考資料として提示しておきます。

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取締役会決議事項に関する提案書テンプレート

2020年mm月dd日

役員各位

株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇

取締役会決議事項に関する提案書

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、会社法第370条の定めに基づき、下記のとおりご提案致しますので、取締役におかれましては、当該提案内容にご同意いただけます場合は、2020年mm月dd日(aaa)までに、電磁的方法にてご返信下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。

敬具

提案の内容

第1号議案 〇〇〇〇の件

本文

第2号議案 〇〇〇〇の件

本文

以上

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同意書テンプレート

2020年mm月dd日

株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 殿

同意書

私は、2020年mm月dd日付にて貴殿から書面により提案のありました、下記提案事項に同意し、会社法第370条の定めに従って、取締役会による決議を行うことなく、全ての提案が可決されたとみなされることに同意いたします。

取締役 〇〇〇〇

提案 

第1号議案 〇〇〇〇の件

第2号議案 〇〇〇〇の件

以上

取締役会議事録テンプレート

取締役会議事録

下記の提案事項に関して、取締役全員が同意の意思表示をするとともに、各々の監査役からは異議が述べられなかったため、会社法第370条の規定により、各提案事項を可決する旨の取締役会の決議があったとみなされた。

1.取締役会の決議があったとみなされた日

2020年mm月dd日

2.取締役会の決議があったとみなされた提案事項

第1号議案 〇〇〇〇の件

本文

第2号議案 〇〇〇〇の件

本文

3.議事録作成に係る職務を行った取締役氏名及び作成日

代表取締役 〇〇〇〇(作成日:2020年mm月dd日)
         
以上のとおり、書面による取締役会の決議があったとみなされた事項を明確にするため、この議事録を作成し、代表取締役(議事録作成者)が次に記名押印する。

2020年mm月dd日

株式会社〇〇〇〇 取締役会

代表取締役 〇〇〇〇 印

以上

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