ナルシストと後知恵バイアス~反省し学ぶために~

フェルミ推定・ロジカルシンキング

物事が起きたあとでそれが上手く行った時に「そうだと思っていた。」という発言。
もしくは、失敗した時に「こんなことになるとは誰も予想できなかった。」という発言。
聞いたことはないでしょうか?
後知恵バイアスというもので、ナルシストが陥りやすいバイアスの一つです。
そして、この後知恵バイアスに囚われると、反省し学ぶ能力が低下します。

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ナルシストは自分のミスから学ばない

複数大学の研究チームは次のような実験を行いました。

Just a moment...
  • 学生、一般の労働者、管理職に対して自己愛の度合いを測るアンケートを実施した(例:「自分は特別な人間だと思う。」という言葉に共感するかどうか、を尋ねた。)
  • 研究者は参加者に対して全く別の実験だ、と説明し、関連する対面調査を実施した(アンケート調査が後の調査に影響しないように注意を払った。)
  • 対面調査では、架空の採用場面を設定し、採用与件(必要資格)を確認した上で、誰を採用するかを参加者が選択した
  • 続いて、その後の採用した人材のパフォーマンス評価を行い、採用判断が正しかったか否かをヒアリングした

この実験の結果、自己愛性向が強い、つまりナルシストは自分の予測の精度が悪かったとしても、異なる選択をすべきだったと認める傾向が弱いことが示されました。
また、上手く行った場合に“勝者の気分”になる傾向が強いことも示されました。
(上述の後知恵バイアスに囚われている態度を示した。)

ようは、ナルシストの傾向がある人は、上手く行ったら自分の手柄であり、上手く行かなかったら自分のミスではない、という反応を示す傾向が強いということです。

研究者は、この結果をもって、ナルシストは失敗を反省し、学ぶ能力が低下している、としています。

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どう対処すれば良い?

頭の良い人たちならば、自覚して、適切な反省、適切なPDCAを回すだろう、そう感じたりしませんか?

実はそうとも限らず、ウォールストリートの金融の専門家達における金融危機への態度などを例に、一般的に頭が良い、優秀だとされる人たちでも、見られる傾向だとしています。

それではどう対処すれば良いのでしょうか?

まずは自覚をすることでしょう。

  • 自分は特別な人間だと思う
  • 自分は他の人よりも優秀である
  • 「やっぱりな」「だから言ったのに」と思うことが多い

このような設問に共感するのであれば、ナルシストの傾向が強い、ということです。

ナルシストは後知恵バイアスに囚われる傾向があるので、まずは自分がナルシストの傾向があるのかどうなのか、を適切に自覚することが最初の一歩でしょう。

そして、後知恵バイアスというものの存在を知識としてしっかりインストールしましょう。
(自分がナルシストの傾向が強いことと併せて)知っていれば、「あ、まずい。」と気が付ける確率が高まります。

そして、意図してセルフ・デビルズアドボケイトを実施すると良いでしょう。
(例:もし、自分が間違っていると仮定したら、何を変えなければいけない?)

このように対処すれば、反省し学ぶことが適切にできるようになるはずです。

ナルシストも決して悪いものではありません。
研究では、一般的な人よりも精神的に健康であり、幸福度が高いことが知られています(上手く行ったら自分の手柄で、上手く行かなかったら自分のミスではない、と考えるので当然ですね)。

ようは、自分の性格や思考の癖との付き合い方の問題ですので、適切に御していきましょう。

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