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学習スタイル(知覚の優位性:VAKモデル)の誤解と勉強に必要なこと

知覚の優位性:VAKモデル、という考え方が登場したのは1900年代後半のこと。
まだ歴史は浅いにもかかわらず、一定の浸透が見られる考え方になっています。
しかし、この学習スタイルの考え方が、本当に科学的に正しいのか、疑わしい点があります。

知覚の優位性:VAKモデルとは

VAKモデルとは、人が情報を得る手段である五感に関して、3つに分類したものです。

V(Visual:視覚)、A(Auditory:聴覚)、そして、触覚、味覚、嗅覚を包括したK(Kinestic:触覚・身体感覚)の3つであり、それらの頭文字をつなげてVAKモデルと言われるようになりました。

この情報入手の手段が人により得手不得手があるとして知覚の優位性という考え方が出て、教育分野における「学習スタイル」として取り入れるようになりました。

この学習スタイルが言いたいのは、人は自分自身にあった学習法で勉強をすると効率よく学習できる(から現在の画一的な教育は多くの人たちに適合していない)、というものです。

しかし、この学習スタイルの考え方には誤解が存在します。

学習スタイルの誤解

教育分野の研究で、この学習スタイルに関して調査が行われていますが、メタ的分析で多くの学習スタイルによる教育方法に科学的根拠がないこと、学習スタイルに関して行われた研究が大体において実験的方法がとられていないことが指摘されています。

https://qz.com/585143/the-concept-of-different-learning-styles-is-one-of-the-greatest-neuroscience-myths/

そして、少なからず実験的方法でもって行われた学習スタイルの検証では、学習スタイルを否定する結論を示唆しています。
下で示すリンク内でも、学習スタイルについて否定する追加実験が紹介されている。お好みの学習方法はあるにせよ、どの学習方法を選択したとしても、習熟度に有意な差はないとのこと。)

人が情報を得る手段としてのVAKモデルは確かに考え方として間違ってはいないのですが、どこかでこの考え方が捻じ曲がって解釈され、教育分野に適用されたのでは?と科学者は指摘しています。

それでは、どうしてこの学習スタイルの考え方は誤解をはらんだまま広まってしまったのでしょうか?

https://www.theatlantic.com/science/archive/2018/04/the-myth-of-learning-styles/557687/

研究者は、教育者、そして学習者双方にとって救い(のように聞こえる)だから、としています。

つまり、教育者にとってみれば、(少なくとも)自分たちのとっている教育方法自体には間違いはなく、学習者の学習スタイルと適合していないからだ、と受け止めることができます。

学習者にとっても、自分の学習スタイルと、教育者の学習方法がマッチしていないからで、マッチする学習スタイルをとる教育者や学習スタイルを選択すれば、自分はまだ伸びると思えるからだ、ということです。

これでは、単純な誤解にとどまらず、害悪でしかありません。

VAKモデルをベースにした最適な学習スタイルがあるという考え方は、早々に払拭する必要があるかもしれません。

異なる学習スタイルを取り混ぜるのは有効

ただ、V(Visual:視覚)、A(Auditory:聴覚)、そして、触覚、味覚、嗅覚を包括したK(Kinestic:触覚・身体感覚)の3つを用いた学習方法が決して悪いことのようには思いません。

こちらの記事でも言及したのですが、学習において重要な反復学習について、異なる方法で学習をすると効果的である、という研究があります。
つまり、教科書による文字情報のインプット、ポッドキャストなどの音声情報、図解などの映像情報などを交えて学習すると、記憶の定着が強化するとされています。
正にVAKモデルの考え方です。

さらにキーボードによるメモより、手書きによるメモの方が長期的な記憶の定着度が高い、という研究もあります。
紙とペンを用いて、文字を自分の手で書く、というアクションが脳に多くの刺激を与えているのかもしれません。

これらのことを踏まえると、重要なことは「自分に最適な学習スタイルが存在する」と考えるのではなく、様々な学習スタイルを用いて複合的に脳に刺激を与えよう、ということだと考えられます。

昨今はYoutube動画をはじめ、様々な映像コンテンツが増えています。

これらは決して悪いものではありませんが、従来からの学習方法である本を読む、ノートに学んだことを要約しながらメモを取る、学んだことを実践する、といった方法も交えて学ぶ意識が必要でしょう。

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スタンディングデスクの効果は科学的に正しいのか?

最近は健康効果等々をうたい、スタンディングデスクが一部で流行しています。
効果としては、立っているが故に座りっぱなしよりカロリー消費が多い、集中力を維持できるといったものが語られています。
果たして、これらの効果は科学的に正しいのでしょうか?

カロリー消費効果は確かにある

デスクワークを行っている人にとって、長時間、席に座り仕事をし続けることは当たり前の風景です。

場合によっては、間に挟む休憩や会議の移動時間以外、座りっぱなしということもあるでしょう。

一部の研究では、1日に数時間座りっぱなしだと長期的な死亡リスクが大幅に増大する、という結果も示唆されています。

そのような背景もあり、スタンディングデスクが一部で流行しています。

そして、カロリー消費という観点で見ると、スタンディングデスクの効果は確かにあるようです。

こちらで紹介されている研究では、スタンディングデスクとカロリー消費との関係について調査がされました。

https://www.kqed.org/mindshift/38120/how-standing-desks-can-help-students-focus-in-the-classroom

数百名の学生に、スマートウォッチを装着してもらい、普通の座席、スタンディングデスク別にカロリー消費の傾向を測定しました。

その結果、スタンディングデスクを選択した肥満、もしくは肥満気味の学生に関しては、普段よりカロリー消費が多いことが示されました。
また、別に行われた調査で、長期的に集中力が維持される傾向も示されました。

認知力向上の効果もどうやらあるっぽい

上述の研究では、集中力の維持についても効果があることが示唆されましたが、こちらの研究では認知機能についても調査されています。

https://www.mdpi.com/1660-4601/13/1/59/htm

数十名の学生を対象にスタンディングデスクを使用してもらい、認知機能を測定するテストを受験してもらいました。

その結果、スタンディングデスクの使用により認知機能の向上がある、ということが示されました。

まだ研究途上であり言う程のものではないかもしれない

ただ、これらの研究にはまだまだ課題があります。

フィンランド労働衛生研究所で行われたメタ研究では、スタンディングデスクが健康に良いという証拠はないとしています。

https://www.cochrane.org/CD010912/OCCHEALTH_workplace-interventions-methods-reducing-time-spent-sitting-work

論文が指摘している点として、多くの研究が規模が対象が小さい、期間が短い、実験が無作為化されておらず統計的に問題がある、等の理由があげられ、それにより、効果があると言い切るには科学的に不十分としています。

実際、1番目に紹介した研究は、カロリー消費の増大効果は「肥満」の学生で見られており、通常の学生では顕著ではなかったこと、座る椅子は自由に選択できて実験の設計が十分にコントロールされていないといった点が指摘できます。
更に、スタンディングデスクにより増大するカロリー消費も、精々、間食で食べるお菓子をちょっと我慢すれば良いレベルのものです。

2番目の研究も、そもそも研究の前提が「予備的調査」であり、対象群の設計等が不十分であることは研究者も認めています。


スタンディングデスクの効果が全くない、とは思いませんが、現状では言う程の効果はないのではないか?と考えるのが自然のように思います。

少なくとも、スタンディングデスクという、通常のデスクより高額なものに投資する位であれば、日常生活に散歩程度でも良いので運動機会を増やす方が効果的であるように考えます。

運動不足はシンプルに身心に悪い、という原則に立ち返り、当たり前のことをするのが現時点では良いと言えるでしょう。

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リモートワークの“コミュニケーション”“雑談”問題をどうクリアするか?

リモートワークが当たり前に定着し、多くの人が満足をし、また今後も継続したい、という意向を示しています。
一方で、ネガティブな声も聞かれており、特に“コミュニケーション”“雑談”については、解決が難しい問題として、度々言及されています。
この問題について、どのように考え、クリアしていくのがよいでしょうか?

リモートワークに多くの人は満足し、継続したいと考えている

新型コロナウイルス感染症が世界的にまん延して、リモートワーク(テレワーク)も同様に浸透した際の多くの人々の反応としてリモートワークに満足すると共に、今後も継続したい、という意向が示されていました。

https://newsroom.ibm.com/2020-05-01-IBM-Study-COVID-19-Is-Significantly-Altering-U-S-Consumer-Behavior-and-Plans-Post-Crisis

この傾向は、最近も変わらず、概ね約8割の人々が、(その賛成の度合いはともかくとして)リモートワークに肯定的です。

一方で、当然にいくつかのネガティブな声も聴かれています。

リモートワークに対するネガティブな反応

長時間労働

ネガティブな反応の例として、長時間労働になる傾向がある、というものです。

https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0019282

リモートワークが定着する前は、従業員がサボるのではないか?という懸念が経営者や管理職から聞こえましたが、結果はむしろ逆です。

働いている姿が直接見えないテレワークでは、姿勢ではなく結果での評価でないと難しく、成果を見えるように示そうとして、むしろ頑張ってしまう人が増えたようです。
その結果として、長時間労働、というネガティブな影響が出ました。

社会参加意識

他にも、一人で孤独に働いているが故の社会参加意識の希薄化とそれによるメンタル不調も指摘されています。

https://theconversation.com/why-working-remotely-feels-so-jarring-according-to-philosophy-135127

仕事をする目的は、端的に言えばお金、もっというと生活の糧を稼ぐためのにあります。

しかしながら、お金のためだけに働いているわけでもないのが人間です。

社会貢献や、社会の中に存在しているという自己認知、コミュニティに属すことによる存在意識等、人として社会参加していることを感じられるのは非常に精神的に重要です(ありていに言えば自己肯定感の話)。

意義のある仕事をし、成長をし、またそれによりさらに社会的ニーズを満たすことが精神的健康の基盤となり、また人生価値の向上にもつながります。

リモートワークは、この社会参加意識という観点において、どうしても阻害する効果があります(物理的に社会と距離をおくため当然の話)。

自律意識による負担

オフィスに出社すれば、必然的に働かなければならない環境に囲まれる形となりますが、自宅は違います。

高い自律意識を持ち、自己制御を行う必要があります。

そこで、例えば次のような記事では、可能な限り「日々の生活スケジュールを厳格に決めて、それを守ること」、つまりは「ルーチンワークをこなすこと」推奨しています。

https://theconversation.com/here-is-why-you-might-be-feeling-tired-while-on-lockdown-135502

一方で、過剰な自己制御は精神に負担をかけるという研究もあります。

https://aow.uni-wuppertal.de/fileadmin/wirtschaftspsychologie/lehrstuhl/Publikationen/Rivkin_etal_2016_WhichDailyExperiencesCanFoster_JOHP.pdf

筋肉を酷使すると身体に負担がかかるのと同様、精神も酷使すればメンタルヘルス等に悪影響があるからです(自己制御のためにも精神エネルギーは消費され、リソースは減少していく)。

他にも様々な問題が

他にも、いわゆる“Zoom疲れ”について指摘する声も聞かれます。

https://www.axios.com/zoom-fatigue-coronavirus-teleconferencing-f5c0ce17-483f-4c71-9a7d-f023d7e7a45b.html

例えば運動不足があります。

リモートワークでの仕事は、会議もZoomのようなWeb会議システムを使うこととなり、オフィス内での移動が起きません。
ずっと座りっぱなしの状態になり、運動不足を誘発し、身心に悪影響を与える可能性があります。

他にも、プライベートの侵害や、言語以外のコミュニケーションにも強く集中しなければいけないが故の認知負担、自分の顔も見続けたりすることのストレス等々、様々なストレス指摘されています。

https://tmb.apaopen.org/pub/nonverbal-overload/release/1

Web会議は、闘争(逃走)反応を誘発し、ストレスを生む、という指摘もあります。

https://www.businessinsider.com/large-face-zoom-video-call-trigger-fight-flight-response-researcher-2020-4

これらは、これまでの生活スタイルの変化により起きているものなので、一定慣れの問題もあります。
つまり、(文化の醸成と共に)時間が解決する要素も多分にあるでしょう。

しかし、残っている問題があります。

それが、コミュニケーション問題であり、特に“雑談”問題がクリティカルです。

一般的に、雑談はクリエイティビティやイノベーションの源泉であると言われており、この領域を重視する先進的な企業にとっては死活問題であるとされています。
(なお、私は諸々の理由により、イノベーション云々について疑わしいと考えています。)

マイクロソフトで行われた実験

それでは、リモートワークにより、働く人々のコミュニケーションの状況は、どのように変化したのでしょうか?

マイクロソフトを実験場とし、このコミュニケーション問題について研究が行われました。

https://www.nature.com/articles/s41562-021-01196-4

内容をいくつかピックアップすると次のようになります。

  • リモートワークは相互コミュニケーションを減少させる
  • リモートワークは会社としては非公式な協業ネットワークを形成していた構造的空隙を減少させる
  • リモートワークは既に信頼関係のある強いつながりの集団とのやり取りを強化させる(ことにより、強いつながり同士では情報交換の効率が向上する)
  • 弱いつながりの集団(新入社員や直接の仕事のつながりがない部署等)とのやり取りは減少させる

ようは、リモートワークにより集団がサイロ化してしまう、ということです。

そのため、成果を出す人材になるために、強いつながりのある集団とは別に、新しいつながりを構築していく必要があるとしています(新しいコミュニティ、異なる価値観との接触、新鮮な情報の入手)

“雑談”が減少、構造的空隙の減少や組織のサイロ化が進み、クリエイティビティやイノベーションの源泉も失われていく、という仮説が是であるならば対処が必要です。
(なお、研究は、mtg等が減少し、チャットやメールでのコミュニケーションが増加することにより、本質的に無駄な時間が削減され、確かに生産性が向上している点には認めています。)

新しいコミュニケーション能力が求められているか?

それでは、具体としてどのような対処が必要でしょうか?

リアルタイムコミュニケーションを求めるマインドを捨てる

まず、考えられるのが意識改革(であり文化醸成)です。

例えば、そもそもとしてコミュニケーションにリアルタイム性を求める、というマインドを捨てる点が指摘できます。

https://snir.dev/blog/remote-async-communication/

Zoom等のWeb会議システムを利用し、リモートワーク下であってもリアルタイムに顔を突き合わせてコミュニケーションを取れるように整備をしたとしても、そこで行われるコミュニケーションは、直接集まって行うコミュニケーションとは別のものです。

例えば、Web会議システムでは、一度に話すことができるのは一人のみです。
実際の会議や集団での雑談では、複数の人が別の人とコミュニケーションを取ることが珍しくありません。
真面目な会議において、隣の人と、ちょっとしたやり取りをすることもあるでしょう。

リアルタイムチャットも、入力のタイムラグ等が必然的に発生し、直接オフィスで話しかけるような即時性を求めることは不可能です。
また、やり取りをオープンにすることを避ける傾向も容易に推測できます(プライベートDMを多用しますよね?)。

つまり、技術的にも、人という性質を鑑みても、リモートワーク下においてリアルタイムコミュニケーションを求めるのには無理があるのです。

リアルタイム性がないコミュニケーションを前提とした、情報共有体制の構築とコミュニケーション文化の醸成が必要です。

主体性と戦略性をもったコミュニケーション姿勢

他にも次のような提案がされています。

https://diamond.jp/articles/-/271335

内容をまとめると、イノベーションのために「知の探索」と「知の深化」が必要であり、また全くのゼロからイチが生まれることはない、と。
そして、そのために「よく話す人と、意図的に雑談の時間を作る」「全く話したことない人と話す機会を増やす」としています。

つまり、上述のマイクロソフトの実験で示された提案と同様のものです。

ここでのポイントは、主体性をもって取り組むこと、戦略的にコミュニケーションを取ること、です。

批判的に言うならば、具体の解決策は無い、ということであり、肯定的に捉えるならば、具体の解決策は「主体性」「戦略的」なコミュニケーション能力を身につけよう、と言えるでしょう。


上述の、そもそもリモートワーク下においてリアルタイムコミュニケーションを求めるには無理がある、とした点においても「情報共有体制の構築とコミュニケーション文化の醸成が必要」としましたが、この具体の方法論については、確立されたものがありません。

「主体性」「戦略的」なコミュニケーション能力を身につけよう、という話も高いリテラシーと文字通りの主体性が問われます。

これらについて、確かに多くのアドバイスやソリューションが提案されていますが、クリティカルに解決する、科学的に効果が実証された方法は、(繰り返しますが)確立されたものがないのです。

間違いなく言えることは、手探りの模索が必要であろう、という点です。

すでに古典となっている研究では、短・中期的には組織文化と戦略が適合している企業の業績は高いが、長期的には環境変化に上手く対応できるか否かによって業績が左右される、としています。
(Kotter, J. P. and J. L. Heskett (1992) Corporate culture and performance, The Free Press)

そして、環境変化に上手く対応するためには、手探りの模索が必須です。

私は、「手探りの模索」こそが、リモートワークの“コミュニケーション”“雑談”問題をクリアするための(現時点での)最適なソリューションであると考えます。

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生産性・業務効率化

パフォーマンスを高くしたいのであれば気が散る要素は排除した方が良い

パフォーマンスを高くしたい、という望みは多くの働く人共通のものでしょう。
その内の阻害要因の一つが「気が散る」というものです。
ここでは、気が散る要素を如何に排除することが重要か、示します。

スマートフォンはそこに存在するだけで人のパフォーマンスを下げる

スマートフォンが身近になり、小さな端末で情報入手やエンターテインメントを楽しむこと、そして世界中の人々とのコミュニケーションが容易に図れるようになりました。
生活の中で、常にスマートフォンが側にある、という人も珍しくないでしょう。

しかし、このスマートフォンは人のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性について、知っておく必要があるかもしれません。

こちらの研究では、スマートフォンはそこに存在するだけで人のパフォーマンスを下げることを示しています。

https://www.journals.uchicago.edu/doi/abs/10.1086/691462

実験において数百人の被験者を対象に、集中力を要する課題を与える前提で、スマートフォンの存在がどれだけパフォーマンスに影響を与えるのか?が調査されました。

具体的には、被験者をグループ分けし、スマートフォンを机の上に置く、ポケットにしまう、バッグにしまう、別室に置く、シチュエーションを設定しました。

その結果、別室に置く > ポケットにしまう ≒ バッグにしまう > 机の上に置く、という順番でパフォーマンスが示されました。

また、追加の実験が行われ、スマートフォン依存に対する意識調査を実施し、同様の実験を行いました。

その結果、依存症であるという自覚が強い人ほど、パフォーマンスが低いことが示されました。

つまり、スマートフォンの存在が人の集中力を奪い、パフォーマンス低下を招いているのです。

気が散る要素がパフォーマンスを下げる可能性

こちらは別の研究です。

https://www.bmj.com/content/371/bmj.m4381

この研究では、数万人の外科医対象に約100万件の手術について、術後30日死亡率が調査されました。

患者は65歳~99歳の高齢者で緊急外科手術が対象です。

その結果、外科医の誕生日に行われた手術が約0.2%あり、その誕生日の30日以内の死亡率が約7.0%であったのに対し、全体平均では5.6%であることが示されました。

つまり、外科医の誕生日は、手術のパフォーマンスが明確に低下するのです。

これは外科医のライフイベントという、仕事とは関係のしない要素に気がとられてしまった可能性が示唆されます。

オープンオフィスはパフォーマンスを下げる

別の記事で、オープンオフィスが如何に従業員の生産性に影響を与えるのかネガティブな影響について示してきました。

オープンオフィスが従業員のパフォーマンスを下げる要因は端的に言って「気が散る」からです。

そのため、パフォーマンスだけにフォーカスした場合に、最も良いオフィス形態は「十分な広さがある個室」であることが示唆されています。


以上の通り、「気が散る」環境は、人のパフォーマンスに多大なる悪影響を与えます。

パフォーマンス高くしたいのであれば、スマートフォンの利用を制限したり(例えば通話のようなコミュニケーションツール以外、使えないような設定にする等)、騒音や過剰な光が無いような環境を構築する必要があります。

人の顔があると、それに気がとられるという研究もあるので、例えばどこかのアイドルのポスターや、その類の装飾品等も良くないと考えられます。

ずっと集中し続けることは土台無理な話なので、オンオフをスパッと切り替えるようなイメージで、パフォーマンスを高くしたい時には「気が散る」要素を徹底排除することが重要でしょう。

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マインドフルネスについて、実は現状でわかっていることはそんなにない

マインドフルネスという言葉は、近年の情報化社会や悩み多き生活を背景に、急速に浸透しています。
数多くの研究が、マインドフルネスが身心の健康や認知能力の向上等にプラスの影響があるとしていますが、実は批判も多くあります。
今回は、このマインドフルネスについて、実は現状でわかっていることはそんなにないよ、という話をします。

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義され、現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程であり、瞑想およびその他の訓練を通じて発達させることができる、とされています。
(なお、この定義自体が明確に幅広く合意されているわけでもない。

現代は情報化社会であり、また多くの悩みが生活を取り巻く、そのような背景もあり、お手軽な成功のためのツールとして急速に浸透しています。

また実際に、多くの研究が身心の健康や認知力の向上等にプラスの影響がある、という報告をしています。
研究によっては、多幸感を得られたり、加齢に影響を与える染色体の劣化防止にも寄与する、という報告を行っているものもあります。

それでは、何が問題なのでしょうか?

マインドフルネスの問題点

こちらの論文では端的に「科学的な裏付けがほとんどない」と指摘をしています。

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1745691617709589

マインドフルネスや瞑想に関する研究の多くは、研究や実験の設計が不十分であり、またマインドフルネスというもの自体の定義も明確でなく、プラシーボ効果を排除するための対象群もないことが多いとのことです。
ようは、科学的根拠よりも、誇大広告の要素が大きい、もっと言うと金銭のために過剰にマーケティングされている、と言及されています。

  • マインドフルネスに基づく研究のうち、対照群を含む臨床試験で検証されたのはわずか9%程度
  • 複数の大規模なプラセボ対照メタアナリシスでは、マインドフルネスの実践はしばしば印象的な結果をもたらさない
  • 2014年に行われた47件の瞑想試験のレビューでは、3,500人以上の参加者を対象に、注意力の向上、薬物乱用の抑制、睡眠の改善、体重のコントロールなどに関する効果を示す証拠は基本的に見られなかった

全く役に立たない、という意味ではない

補足をすると、研究者たちは「マインドフルネスが役に立たない、ということを意味するものではない。」としています。
つまり、現時点でマインドフルネス研究が示している多くのプラスの効果について、科学的な厳密性が不足している、ということです。
研究者たちは「実験介入による悪影響(プラシーボ効果)のモニタリングを含んだ研究が25%以下であることを懸念しているが、この分野が前進するにつれ、この数字が増加することを期待している。」ともしています。

これらの話をまとめると、マインドフルネスが身心の健康や認知能力の向上に寄与することは確かなのでしょうが、それがどの程度のものなのか、実際には不明と言えます。

現状では、実践をするにしても、過度に依拠しないようにするのが良いと感じます。

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