今回は、タイピングの速度を速めることが、如何に有用なのかを説明します。
タイピング速度を速められれば、人によっては一生で1年分以上の時間を節約することができます。
なお、この話はタイピング速度に限らずの話で、日々の様々な本質的ではないことに費やす時間を削減できれば、一年や一生のスパンで考えた時に、膨大な時間を節約することにつながります。
タイピング速度、と軽視せずに、「人生の時間は限られている」という前提で物事を考えると、日々の生活と人生はより有意義なになるでしょう。
なんでタイピング速度の話をいまさら持ち出すの?
こちらを見ると、パソコンの利用実態に関する調査内容を確認することができます。
リンク先の中段以降の所で「タッチタイピングをできると答えた割合:最も高い世代は男女ともに30代」という項目があります。
このデータの詳細を見ると、各年代で次の割合でタッチタイピングができないと回答しています(男女平均)。
- 20代では32.5%
- 30代では30.4%
- 40代では37.3%
- 50代以上では52%
タッチタイピング、つまりはブラインドタッチですが、これはタイピング速度において重要な要素です。
現場実務での主力、20代~40代の方々の内、3人に1人がブラインドタッチができない、というのは非常に大きな損失です。
そして、これはあくまでも自己申告ですので、実際はもっと悪い可能性もあります。
これは2018年の調査ですので、今現在においても大きな変化は無いでしょう。
つまり、タイピング速度の話に改めて触れることは、大きな意義があると考えました。
タイピング速度の目安
タイピング速度の話をする際に出てくる用語として「WPM」(words per minute)という言葉があります。
文字通りなのですが、一分あたりに入力できる英数字キーの数を指します。
目安としては、ここを参考にまとめると、次のようになります。
- 300~ かなり早いと言われるレベル(上には上がいる)
- 200~300 仕事で問題なく通用するレベル
- 100~200 プライベートで不自由がないレベル、仕事では遅い
- 0~100 遅い方、仕事では明確に支障がでる
上記サイトでのWPMは、スコアで表記しており、「スコア=WPM×(正確率^3)」で計算しています。
誤入力があると、タイピング速度が遅くなるので、スコア=WPMと考えて差し支えないでしょう。
(なお、筆者は350~400くらいなので、一般的にはかなり早い方ではあるのですが、もっと早い人だと500とか、タイピングのチャンピオンクラスだと1,000とか行くので、上には上がいる、ということをここでも実感します。)
シミュレーション
さて、ここで人がタイピングにどれだけの時間を費やしているのか、シミュレーションをしていきます。
まず、タイピング数(文字数)ですが、こちらのサイトだと一日平均で4,849の打鍵をしているそうです。
この時の調査は2014年で、現在はSNSや社内チャットツールの普及により、打鍵数は増えているであろうと仮定し、一日平均の打鍵数を5,000と設定します。
この一日平均打鍵数5,000を基準に、タイピング速度(WPM)別に、どれだけの時間を費やしているのかを示したのが下記の表です。
WPM | 1日/分 | 1年/時間 (1年260日換算) | 40年/日 (8時間換算) |
400 | 13 | 54 | 271 |
350 | 14 | 62 | 310 |
300 | 17 | 72 | 361 |
250 | 20 | 87 | 433 |
200 | 25 | 108 | 542 |
150 | 33 | 144 | 722 |
それぞれの項目の意味は次の通りです。
- WPM : WPM(words per minute)
- 1日/分 : 1日にタイピングに費やしている時間を分単位で表記(ここだけ見ると、結構少ないですね)
- 1年/時間 : 1年でタイピングに費やしている時間を年単位で表記、1年は365日ではなく260日で計算
- 40年/日(8時間換算) : 働く期間を40年と仮定した場合にトータルでタイピングに費やしている時間を日数単位で表記、日数は24時間ではなく、稼働時間である8時間で計算
1日あたりでみると大したことがないように見えますが、これを1年というスパンで考えてみてみると、もの凄い時間を費やしていることがわかります。
WPMが150の人と300の人で比較したときに、1年で72時間、稼働時間8時間で考えた時に9日分の差が出ます。
単純に同じくらい優秀な方で、WPM300の人の方が稼働時間が9日分多いと考えたら、どちらが発揮するパフォーマンスが高いと言えるか、明瞭でしょう。
また、タイピング速度が速い人は、あくまでも感覚値ですが、優秀な方が多い印象です。
タイピング速度以外でも優秀なら、この9日分の価値は、より高まっていくことは間違いありません。
上記では1年のスパンで計算しましたが、一生(40年)のスパンですと、1年間分以上の差がでてきます。
1年間の分の時間確保ができる、と考えると、タイピング速度一つがどれだけ人生に影響を与えるのか、もう無下にはできないでしょう。
(なお、40年としたのは、社会にでるのが20歳前後として、平均寿命が80歳前後。さすがにタイピング速度がずっと向上しないことはないだろう、加えてがっつりタイピングする期間は社会に出てからずっとではないだろう、ということで40年という期間を「一生」としました。つまり、あくまでも仮定の話です。)
会社経営者の方も、この話は真面目に考えた方がよいでしょう。
従業員が500人いる会社を想定したとき、全員がタイピングが苦手で無いとしても、丸々1人分の損失になっています。
そして、こういう点を疎かにしているとなると、他の面でも言及できる要素があるでしょうから、潜在的な損失はもっと大きくなるはずです。
まとめ
繰り返しになりますが、WPMが150の人と300の人で比較したときの、費やす時間の差です。
それは、1年で9日分、一生で1年分の時間の差が生まれます。
タイピング速度、とあなどらず、若いうちにタイピング速度向上のための練習をすると良いでしょう。
(パソコンが苦手な中高年の方もあきらめないでください!)
インターネット上で検索すると、無料のタイピング練習のサイトはたくさんあります。
上述WPMの解説部分で示したサイトですと、例えば「ビジネス」というカテゴリーで速度をはかりつつ練習することができます。
そして冒頭でも触れましたが、こういった話はタイピング速度に限りません。
自分自身の人生にとって本質ではない、様々な雑事にかける時間、これを削減することができるだけで、どれだけの時間を一生で確保できるでしょうか?
非常に膨大な時間になるはずです。
「人生の時間は限られている」という前提で、ありとあらゆる物事を見ていきたいです。
コメント