賛否両論の中、レジ袋有料化がはじまっています。
今回は、環境問題や環境税的な物への是非とか、そういう話では無く、思考トレーニングとしてレジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?を考えていきます。
繰り返しますが、個別の科学的正しさを追求する話では無く、ロジカルシンキング的観点で、大枠としてそれは問題なのか否かを捉える、イシューの話です。
ですので、ここでは当該施策に賛成とか反対とかの意見を述べるものではありません。
お題:レジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?
まずは、「レジ袋有料化の意義」として主張されているものの整理です。
諸々のニュースや政府報道、各種環境を意識した組織・団体が主張するレジ袋有料化の意義は次のような形でまとめられます。
- 二酸化炭素排出の削減
- ゴミの削減(マイクロプラスチックとか海洋汚染等々の低減)
- 国民の環境保護への意識の向上
それでは、上記の意義について、科学や環境の専門的知識を使わずに、判断を行ってみましょう。
使用する資料も、大枠を掴むという観点ですので、パッとググって調べらる範囲に留めます。
二酸化炭素排出の削減
この種の話は個別各論で話すと解決が困難になるので、大枠で考えるのが一番です。
で、レジ袋、もっと言うとプラスチック製品ですが、これが石油(原油)から作られている事は、日本の義務教育課程を終えた人ならば、誰でも知っています(そのはず)。
とすると、石油(原油)の内、どれくらいの割合、プラスチック製品の製造に使用されるのか?を考えるのが、よさそうです。
それで「石油 レジ袋 内訳」でGoogle検索したのがこちらです。
当該サイトは、環境活動への推進寄りであり、更に情報がレジ袋有料化の話の前のものなので、色としては問題無いものかと思います。
その資料で、プラスチック製品の製造で使用される石油の量が2.7%、レジ袋は更にその中の一部なので、全体のインパクトは小さいことが、直感的にわかります。
ゴミの削減
次はゴミの削減に効果があるのか?です。
この点に関しては、資料云々より、日常生活の風景を思い出すのが早いでしょう。
一般的な買い物後の風景です。
消費するものもありますが、パッと見、レジ袋よりも他のプラスチック製品の方が圧倒的に多いという感覚はありますね。
一応、簡単に資料にもあたってみましょう。
「プラスチック製品 レジ袋 内訳」で検索してきたものがこちらです。
940万トンの内の20万トンとのことで、レジ袋はプラスチックゴミ全体の2%程度です。
20万トンという数字だけを見ると、とんでも無い数字に見えますが、全体としては本当に微々たるものです。
(上記、二酸化炭素の話になると、2.7%の2%なので、全体の0.06%と、本当に無視しても良い位の数字です。)
マイクロプラスチックと海洋汚染
次にマイクロプラスチックと海洋汚染についてです。
マイクロプラスチック云々生物濃縮云々については、ここで細かく語っても仕方ないので、端的に健康被害があるのか?という話に絞ります。
WHO云々の話もしません。
ロジカルシンキングの観点で考えると、どのような切り口が良いでしょうか?
ここでは、「プラスチック 使用量 推移」で検索してみます。
プラスチック製品が世界的に本格的に使われるようになったのが1980年~1990年、そこから現在までで30年超の時間が経過しています。
では、マイクロプラスチックに起因する健康被害が現実に起きているのか?というと話は聞きません。
他の公害と比べて考えると、健康被害はほとんど無いと言って良いのでは?と考えるのが自然でしょう。
(もちろん、科学的に、健康被害が実はあったんだ、ということが後々証明される可能性は当然にあります。)
次に、海洋汚染について考えてみますが、これは「プラスチック製品 レジ袋 内訳」で出てきた別の資料で検討ができます。
あくまでも漂着ベースなので、これを本当に全体像と言って良いかは不明ですが、少なくとも漂着ベースで0.3%しかポリ袋ゴミは発生していないので、海洋全体でも極々一部と考えて差し支えないでしょう。
つまり、レジ袋を削減しても、海洋ゴミの削減、海洋汚染の低減にはつながらないのです。
(後、そもそもとして、漂着してくるゴミが、日本の物なのか問題は、たびたび話題に出ますね。)
国民の環境保護への意識の向上
この点は、まあそうなのかもね、という気はします。
これについて検討する方法は何かあるであろうか?と考えた時に、素直に常識で考えるのが良いと思いました。
つまり、「ポイ捨てをする人」、「分別がいい加減な人」が、今さら「レジ袋有料化」を行ったところで、環境保護への取り組みに熱心になるであろうか?という点です。
積極的にレジ袋を使用せず、エコバッグに切り替える層は、最初から高いモラルを持っている人たちであると、想像ができるはずです(偏見かもしれないですけどね)。
この見方だけで、一定結論が出てしまうように思えます。
以上、レジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?について、ロジカルシンキングの観点で考えてみました。
専門的知識を用いず、表面的に検索できる事象だけど、本件に関して一定の結論を出せるだけの情報を得られ、思考の整理ができたかと思います。
(なお、改めて繰り返しますが、別にここでは反対をしたいとかそういう趣旨の内容の話はしていません。ちょっと論理的に考えれば掲げている意義に対して効果が無いことは明確だよね、ということを示したにすぎません。
また趣旨としても、あくまでも、ロジカルシンキングを活用すると、別に専門的知識が無くてもここまで考えられますよ、ということを言いたいにすぎません。)
この思考の流れを一言で表現するなら「森を見る、全体像を把握しよう」という風になるでしょう。
ビジネスの現場での思考も一緒で、個別各論で考えだすと時間がかかったり、思考が迷走しがちです。
全体像を把握し、大枠としてどうだ?と考えるのは、ロジカルシンキングの基礎です。
ビジネスに限らず、生活の多くの場面でも応用できる思考法なので、是非、活用してみて下さい。
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