7億円赤字の鳥貴族、経営は大丈夫なのか?

経営企画

鳥貴族が2014年の上場以来最大となる7億6千万円の赤字を計上したとの報が出ていました。
飲食店はコロナ影響を大きく受けている業界の1つです。
鳥貴族の経営は大丈夫なのでしょうか?

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鳥貴族7億円の赤字報道

まずは報道を見てみましょう。

鳥貴族が11日発表した2020年7月期の単独決算は、最終損益が7億6300万円の赤字(前の期は2億8600万円の赤字)だった。新型コロナウイルスの感染拡大で4月初旬から約1カ月半、直営全店が休業したことに加え、自治体による営業時間の短縮要請などが響いた。店舗の臨時休業による損失や収益性低下に伴う減損などで約27億円の特別損失を計上した。

日本経済新聞 2020年9月11日 「鳥貴族が7億円の赤字、20年7月期最終 コロナで不振」より

なるほど、飲食店の例に漏れず、コロナ影響による大損害を被っていた、という事ですね。

なお、2014年の上場以来の最大の赤字幅でもあります。

果たして鳥貴族の経営は大丈夫なのでしょうか?

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直近の決算短信を見てみる

鳥貴族は9月11日時点で2020年7月期の決算短信を公表しています(リンク先は同社IR)。

これをベースに数字を見てみましょう。

まずは、PL概要です。

売上高は前期比▲23.2%の275億円、経常利益は同▲16.5%の9億円、そして最終損益が報道の通り7億6千万円の赤字となっています。

このような状況でも(7月決算なのでコロナ影響を2月から7月まで、約半年まともに受けている)、しっかり営業利益・経常利益を出しているのは凄いですね。

赤字の原因はほぼほぼ特別損失によります。

休業損失が約19億円、おそらく撤退するであろう店舗の減損損失が8億円と、ここで合計約27億円の特別損失を出しており、これが最終損益にヒットした形です。

それでは現預金残高は、というと次の通りになります。

87億円の現預金を確保しており、十分な額が存在します。

財務CFが約50億円あり、この内65億円が新規の長期借入となっており、有利子負債は増大しつつも、当面の資金は問題無い事がわかります。

このように自己資本比率も、まだ28.4%と決して高い数字では無いものの、飲食店の平均ライン前後の数字を維持しています。

コロナ影響を早々に脱し、元の成長軌道に乗せられれば、鳥貴族の経営は問題が無いと言えるでしょう。


鳥貴族のコロナ影響については、次の記事も参照ください。

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成長軌道に改めて乗せられるか?

実は鳥貴族はある懸念が存在していました。

急成長の歪みに苦しむ鳥貴族の「重荷」
280円均一を売り物に快進撃を続けてきた居酒屋チェーン大手の鳥貴族。人件費、食材費などコスト増を受けてついに10月、値上げに踏み切った。株式市場などは好感しているが、急成長のひずみも表れている。

上記の記事(外部サイト)にもあるように、そうは言っても格安業態であるが故に利益率が高くなく(営業利益率3%台)、値上げを実施しています。

それにより、2018年7月期と2019年7月期は既存店前年比割れを起こしています。
(これは値上げ影響だけでなく、店舗急拡大の影響もある。)

鳥貴族既存店前年比年度推移

幸い、元々の顧客支持が高かったこともあり、上場時の水準(2014年7月期)から比較すると、まだ既存店売上高の売上指標は100を超えています(コロナ影響は除く)。

鳥貴族は、withコロナ環境においても、比較的相性が良い業態ではあり、他居酒屋に比較して回復が早い方でした。
まだ回復途上ですし、8月は第二波の影響か再び下落してしまっているものの、優位な状況にはあります。

既存店前年比割れは飲食店経営における宿命のような物です。

withコロナ環境において、顧客に支持される価値提供を続けられるか否か。

これが今後の鳥貴族の成長にかかっているでしょう(鳥貴族に関わらず、の話ではあるんですけれどね)。

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